普段スマートフォンやパソコンを利用される方であれば、「アプリケーション」や「アプリ」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
私たちが普段使っている、コンピューターに入っているソフトの一種ですね。
これらのソフトは、なぜ「アプリケーション」と呼ばれるようになったのでしょうか。
「アプリケーション」という言葉の意味

「スマホアプリ」などの言葉に代表されるように、最近では「アプリ」という言葉がよく使われますが、これは、「application software(アプリケーション ソフトウェア)」を省略した言葉です。
英単語で言うところの「application(アプリケーション)」とは、「応用」という意味ですね。
ですから、「application software(アプリケーション ソフトウェア)」とは、「応用的なソフトウェア」という意味です。
たとえば学校の授業で使われる問題集などでも、「基本問題」「応用問題」などのように、問題の種類が分類されていたりしますね。
「応用」とは「応じて用いる」と書きますから、「基本問題」で習得した基本的な知識を、様々な「状況に応じて使っていく」ための問題を、「応用問題」と呼びます。
では、スマホやパソコンの「アプリ」は、一体何を「応用」しているのでしょうか?
「アプリケーション」は、コンピューター資源を応用するソフト

「アプリケーション ソフトウェア」は、コンピューター資源を応用することから、そう呼ばれています。
「コンピューター資源」と、少し分かりにくい表現をしましたが、ここで言う「コンピューター資源」とは、「パソコンやスマホの機械そのもの」や、「パソコン・スマホを買ったときに、元々入ってる基本的なソフト」ぐらいに思ってくれれば良いと思います。
細かい用語は覚えなくても良いのですが、その「パソコンやスマホの機械そのもの」を、「ハードウェア」と呼び、ここで言う「パソコン・スマホを買ったときに、元々入ってる基本的なソフト」とは「OS(オーエス)」や「ミドルウェア」と呼ばれたりします。
特に「ミドルウェア」なんて言葉は、一般に使う機会はありませんから、特に覚えなくても大丈夫です。
では、それらはどういうものなのかと言うと、たとえばパソコンやスマホを買ったとき、特に何も「アプリケーション」を入れなくても、そのパソコンやスマホは、電源をつければ動きますよね?
音も出ますし、画面にメッセージが表示されたりもするはずです。
こういう風に、音が出たり、画面にメッセージが表示できたり、キーボードを押すと文字が入力されたり、そういった、ものすごく基本的な動作を可能にしているのが、「OS」などと呼ばれるソフトです。
「OS」は別名、「基本ソフトウェア」なんて呼ばれますから、機械を操作するための、基本的な機能のみを提供するソフトウェアです。
でも、この「OS」だけでは、コンピューターは私たちにとってあまり便利なものになりません。
「音も出るし、画面に文字も表示されるし、キーボードも打てる!すごく便利!」
とはなりませんね…
それらは当たり前の機能です。
そういった、OSなどが提供してくれている、すごく基本的な機能を「応用」して、僕たちの私生活を便利にしてくれるような機能を付けなければいけません。
ここで「応用」という言葉が出てきましたね。
そうです、それを実現しているのが、「アプリケーション ソフトウェア」「アプリケーション」「アプリ」と呼ばれているソフトウェアなのです。
一つ、「LINE」という名前のスマートフォンアプリを例にとって、詳細を見てみましょう。
LINEの例

たとえば、スマートフォンアプリで、「LINE」という名前のアプリがあります。
これは、電子メールのように、遠く離れた人たちとメッセージを送りあったり、電話のように通話をしたりするための「アプリケーション」です。
この「LINE」というアプリケーションは、「LINE Corporation」という企業の人達が開発をしています。
この人たちが一生懸命プログラムを書いて、この便利なソフトを作っているのですね。
ただ、この「LINE Corporation」の人達が、スマホの操作や、音声通話をするための機能をすべて作っているのかというと、実はそういうわけでもありません。
この人たちは、
「スピーカーから音が出るようにするプログラム」とか、
「スマホの横のボタンを押して音量を調節するプログラム」とか、
「動画付きの通話をするときに、カメラで動画を撮影するためのプログラム」とか、
「画面に触ってスマホを操作できるようにするプログラム」などは、
基本的には作っていません。
それらは、スマートフォンの「OS」を作っている会社の人達が、あらかじめスマートフォンに組み込んでいるプログラムです。
もしあなたが、「iPhone」を使っているのであれば、「Apple(アップル)」という会社や、そこから依頼を受けた会社の人達。
もしあなたが「Android」という種類のスマートフォンを使っているのであれば、「Google(グーグル)」の人達が、それらの機能を、OSの機能としてあらかじめ作ってくれています。
LINEを作っている人たちは、それらの部分に関しては、「あらかじめ用意されている機能」を呼び出しているだけです。
もちろん、そういった機能を呼び出す過程で技術的に難しい点があったり、呼び出し方を工夫しなければいけない点はあったりするのですが、機械の操作に関わる本当に基本的な機能は、OSの機能を呼び出すしかありません。
呼び出して使わせてもらっている、つまり、「応用」しているんですね。
このように、もともとコンピューターに搭載されている機能を「応用」することから、これらのソフトウェアは「アプリケーション」という名前で呼ばれるようになりました。
APIとは

上記のLINEの例で説明したように、「アプリケーション」を作っている人たちは、「OS」にあらかじめ搭載されている機能を、「応用」してソフトウェアを作っています。
「アプリケーション」から、「OS」の機能を呼び出して使わせてもらっているんですね。
なぜこんなことができるのかというと、「Apple」や「Google」の人達が「OS」を作るとき、「アプリケーションからOSの機能を呼び出す方法」というものを、あらかじめ決めて、設定しておいてくれているんですね。
だからアプリケーションを作る人たちは、それに従ってソフトを作れば、OSにあらかじめ搭載されている機能を、わざわざもう一度作り直す必要はないのです。
そういう風に、「あるソフトから、別のソフトの機能を使うときの決まり」のことを「API」と言います。
「別のソフトから僕を呼び出すときは、こういう風に呼び出してね」という決まり事を、「OS」独自に決めてあるんですね。
「API」とは「Application Programming Interface(アプリケーション プログラミング インターフェース)」という言葉の頭文字をとったものです。
「Interface(インターフェース)」は「境界」という意味ですから、ソフトウェアが、別のソフトウェアの機能を呼び出して使うときの、境界のことを「API」と呼んでいるんですね。
少し馴染みがない言葉かもしれませんが、「アプリケーション」は全て、「OS」のAPIを使って、その「OS」の機能を「応用」することで、私たちに便利な機能を提供してくれています。

まとめ
如何だったでしょうか。
「アプリケーション」や「アプリ」がなぜそう呼ばれているか、理解できましたでしょうか。
この記事でお話しした内容は以下のようなものでした。
- 「application(アプリケーション)」とは、「応用」という意味の英単語
- アプリケーションとは、「OS」などのコンピューター資源を「応用」し、私たちに便利な機能を提供するソフトウェア

この記事が、皆さんの学習の助けになれば幸いです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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