今日は、Web技術の話というより、デザインの話です。
ヒックの法則とは

高校生の時、丸暗記でテストを乗り切ったlogです。
(理系の学生しか習わないんでしたっけ?)
たしかグラフで書くと、こういうやつ。

上記の芸術センス溢れるグラフからも分かるように、ここで言いたいのは、n(選択肢の数)が増えるとT(選ぶのにかかる時間)も増えるということですね。
logなんかどうでも良いのです。
もっと言うと、時間がかかるだけでなく、「選ぶことを放棄されてしまう」ことが多いという実験結果もあります。
ジャムの法則

コロンビア大学のシーナ・アイエンガーさんが行った実験では、「選択肢が過剰に多いと、人は選ぶことをやめてしまう」ということが明らかになっています。
ジャムの試食コーナーでの、購買者の行動を観察した実験です。
シーナ・アイエンガーさんは、ジャムの試食コーナーにおいて、6種類のジャムを並べた場合と、24種類のジャムを並べた場合の、どちらが売れるかを比較しました。
その結果は以下のようになりました。
ジャム24種類 | ジャム6種類 | |
---|---|---|
試食 | 60% | 40% |
購入 | 3% | 30% |
ヒックの法則のウェブサイトへの応用

以前、少しだけ紹介した、僕がフィリピンに住んでいた時に作ったブログでも、ガッツリこの過ちを犯しています。
90 Japlish Words / Wasei Eigo List >>
この記事では、日本に興味がある外国人に向けて、「和製英語」を紹介しています。
記事の題名の意味は、「和製英語90選」。
90選。
ジャム24種類なんて目じゃありません。
記事冒頭の目次で、90個の和製英語がズラーーーーっと記載されており、本文では、その和製英語一つ一つについて解説がされています。
目次から気になる和製英語を選んでもらいたかったのですが、多分これを見た外人さんは、「うゎ…!」となったことでしょう。
Oh… ジャパニーズ… クレイジー
となったことでしょう。
選択肢をズラーっと並べるのは、かえってユーザーの離脱を招く原因になってしまいますので、控えましょう。
(離脱というのは、そのウェブサイトを見るのをやめてしまうということです。)
これは、悪い例です。
でも、網羅性は大事

じゃあ選択肢をたくさん用意するのがダメなのかというと、そうでもないのです。
以前、「店舗や会社のホームページの役割とは?」という記事にも少し書きましたが、それぞれのウェブサイトには、「強さ」のようなものがあります。
この強さとは、「Googleからどれほど評価されているか」ということで、「検索結果のどれぐらい上の方に表示されるか」ということに関わってきます。
Googleがウェブサイトを評価するとき、大事な評価基準に、「検索キーワードに対する、記事の網羅性」があります。
Googleは、検索者の悩みを解決して、満足させられるようなウェブサイトの評価を高くします。
人々がある検索キーワードでGoogle検索を行うとき、その人は、何か知りたいことがあるから検索を行っているはずですね。
その人の知りたいという願望を満たすために、ウェブサイトの情報は、その悩みに対して極力「網羅的」でなければならないのです。
記事を読み終わっても、消化不良の状態であれば、検索者は「戻る」ボタンを押して、他のウェブサイトを見に行くことでしょう。
読み手がそういう動きをしているということは、しっかりGoogleさんにはバレてしまいます。
そして、「なんだ、このサイトはあんまり網羅的じゃないんだな。よし評価下げよう。」と、決断を下されてしまいます。
なので、必ずしも選択肢を少なくすれば良いということではないのです。
では、多くの選択肢をウェブサイトに表示したいときは、どうすれば良いのでしょうか。
ヒックの法則にならってカテゴリ分けをしよう
こういった問題に対して一般的に取られる対策としては、「カテゴリ分け」です。
選択肢をズラーっと並べると分かりにくいので、ジャンルごとに一旦分けるという方法です。

いきなり選択肢を選ばせるのではなく、まずはカテゴリを選んでもらい、そのカテゴリの中から選択肢を選んでもらえば、一回の選択の時間は短くて済むということですね。
読み手にストレスをかけることなく、現実的な選択時間で選んでもらえるような工夫をするべきだ、というヒックさんの教えを胸に刻んでおきたいものです。
ヒックの法則に関する書籍
ヒックの法則など、人間の行動心理に関する法則を、Webデザインに応用することに興味が湧いた方には、以下の書籍がおすすめです。
ヒックの法則だけでなく、様々な人間の性質を元に、ユーザーが使いやすいWebデザインを実現する方法について詳しく書かれています。
私もWebサイト作成の際のバイブルとして活用させて頂いています。
職業柄、Webデザインに関する本は結構読みましたが、ここまで論理立てて、分かりやすくWebデザインについて書かれている本は他にはないのではないかと思います。
技術書ではありませんので、もちろんWeb初心者の方にも難なく理解できる内容だと思います。
また、題名にもあるように、プロのデザイナーでなくても、スラスラ読むことができます。
WebサイトやWebサービスを作成する予定の方は、ぜひ一度読んでおくと、論理に基づいた、しっかりとしたサイト設計ができるようになるのではないでしょうか。
これを読んだか読まなかったかで、その後作成するWebサイトの使いやすさが大きく左右される… と言っても過言ではないぐらい、Webデザインの本質を、分かりやすく伝えてくれる良書です。
興味が湧いた方は、是非ご一読下さい。
以上、ヒックの法則でした。
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