こんにちは。uni-browserの財前航介です。
もうすぐ2018年も終わり、2019年に突入しますね。
私は今年は、結婚したり、フィリピンから日本に帰国したりと、色々あった年でした。
皆さんは如何だったでしょうか。
2018年も終わりということで、この記事では、Web技術が今後どうなっていくのか、という事についてじっくり考えてみたいと思います。
議論の前提

Webの今後について考える前に、まずは前提となる言葉の意味を決めておきましょう。
Web技術とは
この記事では、「Web技術」という言葉の意味を以下のように捉えることにしましょう。
「ユーザーが持っている端末とWebサーバーが通信を行いながら、ユーザーにサービスを提供するための技術」
たとえばWebブラウザーからWebサイトを閲覧するような仕組みもWeb技術ですし、Facebookのような、アプリケーションに近いWebサイトにWebブラウザーからアクセスして利用するような仕組みも、Web技術です。
また、Webブラウザーを用いる場合だけでなく、スマートフォンアプリや、PCにインストールして使用するようなアプリケーションも、裏でWebサーバーと通信を行っていればWeb技術と呼ぶことにしましょう。
Webサーバーとは
ここでは、Webサーバーソフトウェアと呼ばれるソフトウェアがインストールされているコンピューターを、Webサーバーと呼ぶことにします。
WebサーバーソフトウェアにはApache、IIS、nginx等と呼ばれるものがあり、外部端末からのリクエストに対して、レスポンスとしてデータを送信できるようなソフトウェアを指しています。
そういったソフトウェアをコンピューターにインストールすることによって、Webサイトの情報の発信が行えるようになります。
ここでは、そういったWebサーバーソフトウェアがインストールされているコンピューターをWebサーバーと呼び、Webサーバーとユーザー端末との間での通信を前提とした一連の技術を、Web技術と呼ぶことにします。
「Web技術の今後」とは
「Web技術の今後」について考察するのがこの記事の目的ですが、そもそも「Web技術の今後」とはどういった範囲のものを意味しているのかを決めておきましょう。
たとえば、「Webのフロントエンドではこういったフレームワークが流行るでしょう」とか、「サーバーサイド言語は、これが今後流行るでしょう」というような、Web技術界隈の中で何が起こるかという議論は、この記事の考察の目的ではない、ということにしたいと思います。
どういう事かと言うと、「Web技術」対「その他の技術」とか、「Web技術」対「社会」という構図で、Web技術全体としてどういう方向に向かっていくのかということについて考えたいと思います。
もちろん、その前提として、Web技術の中で何が起こるのかと言う部分にも、最低限は触れながら考察を進めていきたいと思います。
どれぐらいの期間での話?
「今後」というのがどれぐらいの期間かは決めずに、今後どちらの方向に行くか、という方向性についてだけ考えましょう。
Web技術は進歩が速すぎるので、いつ、何が起きるのかまでを正確に言い当てるのは、非常に困難ですね…
2019年に入る前に考察していますが、ここで書いていることがすべて2019年中に起こると言っているわけではないので、ご了承下さい…笑
それでは、上記のような前提の下、考えてみましょう。
Webブラウザー対ネィティブアプリ

まず、Web技術の中での話を少しします。
ご存知の方も多いかもしれませんが、Webのクライアント側の技術は、以下の2通りに大別できます。
- Webブラウザー上で動くアプリケーション
- ネイティブアプリ(端末にインストールして使うアプリ)
FacebookやTwitterをイメージして頂くと分かりやすいと思います。
FacebookやTwitterは、上記の両方の形態で利用できるWebサービスです。
Webブラウザー上で動くアプリケーション
たとえば、Google検索で「Facebook」と検索したとき、その検索結果に出てくるFacebookのページにログインすれば、あなたのFacebookの情報を閲覧できると思います。
この方法でFacebookを用いる場合は、前者の「Webブラウザー上で動くアプリケーション」として、Facebookを利用していることになります。
ネイティブアプリ
それに対して、iPhoneであれば「Apple store」などから、Androidであれば「Google Play」などから、アプリとしてFacebookをあなたのスマートフォンにインストールして、そのアプリからFacebookの情報を閲覧することも可能ですね。
こういった方法でFacebookを用いた場合、そのアプリケーションは、Webブラウザーを介すことなく、Webサーバーと通信しています。
こういった形態のアプリを、ネイティブアプリと呼んでいます。
シングルページアプリケーションの台頭
以前であれば、上記のようにWebブラウザーとネィティブアプリを対比した場合、ネィティブアプリの性能の方がはるかに良い、というのが一般的でした。
Webブラウザー上で動くアプリケーションなどは、ページ読み込みなどが頻繁に発生するため、ユーザーが快適に利用することは難しい状況でした。
しかし近年SPA(シングルページアプリケーション)というものが登場したことによって、状況が大きく変わってきました。
WebページとしてFacebookを利用する場合でも、アプリケーションをインストールしたものとほとんど遜色のないような性能で、サービスを利用することができます。
SPA(シングルページアプリケーション)という形式でWebサイトを構築することによって、サーバーからのデータ読み込みの際に、いちいち画面がフリーズすることがなくなり、従来のWebサイトの閲覧よりもはるかに快適にWebサービスを利用できるようになったのです。
今後も引き続きシングルページアプリケーションの普及・発展が続いた場合、旧来のネィティブアプリよりも一般的な開発手法になる可能性があります。
iPhone用であれば、iPhone専用のアプリケーションを作る必要がありますし、Androidであれば、Android用のアプリ、PCでも利用したいのであればPC用にも…
と、各端末ごとに別のアプリケーションを開発する必要があります。
これは非常に開発コストがかかります。
Webブラウザーを使用するWebアプリケーションであれば、iPhoneでも、Androidでも、PCでも、基本的には全く同じ技術体系を用いてサービスの構築が可能ですから、開発コストの面からも、圧倒的に有利であると言えます。
SPA(シングルページアプリケーション)のデメリットとして語られることが多いのが、SEO(検索エンジン上での検索順位で上位に表示させること)において不利という点です。
従来のWebサイトと比べればSEOに弱いのはデメリットになり得ますが、ネィティブアプリはそもそも検索エンジンとは全く関係ありませんから、ネィティブアプリとの対比の場合は、この点はデメリットにはなり得ません。
検索エンジンなど用いなくても、スマートフォンのデスクトップにリンクを配置しておけば、ネィティブアプリと同様にサービスにアクセスして、利用することが可能です。
上記のような理由から、今後のWebアプリケーションは、Webブラウザー上で動作するSPA(シングルページアプリケーション)という形態のものが主流になると考えます。
また、非常に利点が多い形態のWebサービスですから、検索エンジン側の評価も、今後改善されていく方向に進むと考えられます。
高度な3D技術をWebブラウザー上で扱うことが可能に
上記のようなSPA(シングルページアプリケーション)形式の、Webブラウザー上で動くアプリが台頭してきた場合、その流れを後押しするような動きがあります。
Mozillaなどが中心になって進めている、Web3Dという動きです。
具体的にはWebGLという技術を用いれば、Webブラウザー上で、高度な3D描画を扱えるような技術が、既にほとんどのWebブラウザーに搭載されています。
つまり、ネィティブアプリに匹敵するような3D描画も、Webブラウザー上で可能になっているのです。
WebGLとはJavaScriptというプログラミング言語から扱う技術ですが、WebGLをより扱いやすいようにしたライブラリーである、three.jsなども普及をしており、Webブラウザー上で動くWebサービスにも、本格的に3D技術が導入されつつあります。
VR・ARとの融合
Webサービスにおいて現在では、PC・スマートフォンの2種類が主なターゲットとなる端末ですが、今後新たな端末が普及することも考えられます。
ウェアラブル端末の研究は近年急速に進んでおり、眼鏡などのような形をした端末の小型化、高性能化も進んでいます。
そういった形態の端末が普及することによる最も大きな影響は、VR・AR・MRなど、いわゆるXRと呼ばれる技術の、コンシューマー市場への普及です。
PCやスマートフォンのような2Dのディスプレイ上に3D描画を行うのではなく、立体的に飛び出して見えるような3D描画を行い、より本格的な没入感をユーザーに与えられるようになるのではないか、と注目を集めています。
Web3Dの動きを推し進めているMozillaと言えば、FirefoxというWebブラウザーを開発している団体です。
当然、次世代のWebブラウザーに、XRに対応した機能を組み込もうという動きが加速しています。
スーパーマーケットの店先に、あなたに最適化された立体的な広告がフワフワと浮かんでいるような未来も、そう遠くないかもしれません。
IoTとの関係

IoTと言えば、「モノのインターネット」等と訳されることが多い概念ですね。
モノに設置されたセンサーなどから情報を吸い上げたコンピューターが、インターネットを用いて相互に連携し合い、人間の操作を介することなく自動でサービスを行うような技術を総称して、IoTと呼んでいます。
たとえば、道端のごみ箱に設置されたセンサーが、ごみ箱が満杯になったことを検知し、インターネットを介して近くのごみ収集車を探し、そのごみ収集車が、自動運転でごみ箱の中身を回収しに向かう…
などと言ったように、人間を介さずに、コンピューター同士のやり取りにインターネットが使われる時代になりつつある、という考え方です。
Webは人が使うものであり続けるか
この記事の冒頭で行ったWeb技術の定義では、
「ユーザーが持っている端末とWebサーバーが通信を行いながら、ユーザーにサービスを提供するための技術」
という定義を行いました。
上述のごみ収集の例のような場合では、ユーザーが持っている端末に対するサービスの提供は目的ではありません。
従って、この定義に従うと、IoTによって利用されているセンサーやネットワーク通信技術を基盤とする技術体系は、ここで言うWeb技術には含まれないことになりますね。
それも含めてWeb技術と呼ぶ議論もあり得ますが、ここではIoT技術と、いわゆるWeb技術を分けた形で議論を進めましょう。
IoTが極限まで普及したとき、今人間が使っているような、旧来のWebは存在し続けるのでしょうか。
結論から言うと、もの同士が通信し合うIoTの概念とは別に、人間が使うWebは存在し続けるでしょう。
と言うのも、人はどうしても、何かを「知りたい」という欲求を持っています。
生きていくうえで悩み事があれば、その解決策を知りたいですし、趣味などの好きなことがあれば、それについてより深く知りたいでしょう。
そうなったときに、Web上にある情報を人々が欲することは、今後も変わらないはずです。
しかし後述のように、Web上での人々の情報の受け取り方が変わっていく可能性は大いにあるでしょう。
AIがWeb上の情報を仲介する
現在Web上には、膨大な情報があります。
人間が記事を書き、発信したものを、人間がWebブラウザーを介して読む、といった構成で広く利用されています。
その間に、AIなどのモノが介入する可能性は、大いにあります。
Watsonは、膨大な情報を解析し、問いに対する的確な答えを導き出すことができます。
Watsonの登場当初、人工知能がクイズ世界チャンピオンに勝った、というニュースは、世間を賑わしました。
Watsonは現在、日本の銀行などにおいても、顧客サポート等の目的で利用されています。
顧客サポートへの導入にはまだまだ課題も多いようですが、適切なデータを与えれば、回答の精度は今後も上がっていくはずです。
Google等が開発している人工知能においては、その教師データとして、世界中のあらゆる情報を与えようとしています。
もちろんインターネット上にある膨大なデータも含めてです。
そういった形態の人工知能の開発が進んだ時、人が「知りたい」と感じたことに対して、的確に答えを返す人工知能の実現は、想像に難くありません。
そういった未来が実現すると仮定したとき、出てくる疑問は以下の2つです。
- 教師データとして用いるWeb上の情報は、今後も人間が書き続けるのか
- ユーザーである人間は今まで通り直接Webサイトのコンテンツを閲覧するのか、それともAIが発する要約した音声や、編集・加工された形の情報を見ることになるのか
もちろん、センサーや人工知能が発信する情報もWeb上に存在するようになるわけですから、Web上の情報全体から見た、人間が発信している情報の比率は下がる可能性があります。
しかし、人間はどこまでいっても、人間が発信した情報を欲しい場面があるはずです。
たとえば人間が憧れる対象は、基本的には常に人間でしょう。
「あんな風になりたい」とか、「この人の考え方をもっと知りたい」とか、「どうやったらこの人みたいに成功できるんだろう」等といった、人間としての自分がどうあるべきかを考える上で、他者から発信される情報というのは、最も直接的で、人間の感情の部分にも響き得るものです。
また、人の悩みと言うものは、単純に情報だけがあれば解決するものでなく、すでに経験がある人の体験談や、他者の考え方に触れることで、自分の生き方に対する考え方を固めていく側面もあります。
ただ、後者の「人間が従来のWebサイトのコンテンツを閲覧し続けるか、それともAI等によって加工されたものを見聞きすることになるか」という点においては、どちらもあり得ると考えます。
人が、人から発信された情報を必要とし続ける以上、一次情報の発信者としての人間は存在し続ける必要があります。
しかし、多くの人間が発信している情報を、人工知能が統計的に解析した結果をユーザーに見せたり、そこから得られる最終的な知見のみを掻い摘んでユーザーに提供する可能性はあります。
つまり、一次情報の発信者としての人間は存在し続けるものの、その一次情報であるWebサイトなどを直接人間が目にするかどうかは、ケースバイケースになると考えます。
AIは、それ自体では何もできません。
データを食わせて、学習させる必要があります。
人間が生きる上で、「他者の考え方や意見」を必要とする以上、少なくともその学習データを発信する情報源として、発信側の人間が必要です。
センサーだけではそこの実現は難しく、少なくともSNSのような形態で、人間が発信していけるシステムが今後も必要になるでしょう。
まとめ: Web技術は、形を変えながら今後も存在し続ける

結論としては、Webサーバーとユーザー側の端末とがやり取りするような形態のWeb技術は、今後も発展を続けていくでしょう。
しかし、その間にはAI等の技術が介在する可能性があり、情報の発信者に関しても、従来のように人間だけが情報発信を行うのではなく、センサー・AIと言ったモノから発信された情報の比率が増えていくでしょう。
ただ、情報の発信源としての人間の重要性がなくなることはないため、人間が発信し、人間が受け取るという、現在のWeb上での情報の流れは、今後もあり続けると考えます。
如何でしょうか…?
私はしがないWeb系のエンジニアですが、背伸びをしてこんな考察をしてみました。
皆さんはどのように考えられるでしょうか。
Web技術の進歩は非常に速いですから、的確な予測は困難ですね。
きっと未来をピタリと言い当てられるような人は、個人・企業を含めてもいないでしょう。
でも、未来に関して自分なりの意見や、ビジョンを持つのは、とても重要だと思います。
そういった、一人ひとりのビジョンと行動が合わさって、実際の未来が形成されていくわけですから。。。
この記事が、少しでも皆様がWeb技術の今後について考える上でのヒントになれば幸いです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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